不倫のリスク
「不倫をしていることがバレてしまったがどうすればいいか。」
「不倫にはどんなリスクがあるのか知りたい。」
不倫の種類
既婚者が配偶者以外と不貞行為を行うことを不倫といいます。不倫には既婚者が独身者と関係を持つケースと、既婚者同士が関係を持つケースがあります。なお、既婚者同士の不倫のことをW不倫といいます。
既婚者と独身者の不倫
既婚者同士の不倫(W不倫)
不倫のきっかけ
不倫のきっかけは、以下に挙げるようなことかと思います。
刺激を求めて
ふとした機会に配偶者以外の異性と仲良くなって、不倫をしてしまった。その不倫の刺激が楽しくなり、刺激を求めて不倫を続けてしまう、というケースがあります。
現実逃避
仕事では、大量の難しい仕事を担当し、ストレスを感じている。また、家庭でも、子育てやパートナーとの関係にストレスを感じている。そのような状況からの現実逃避として、不倫による癒やしを求めるケースもあります。
パートナーとの関係が上手く行っていない
パートナーとの関係がうまく行っていないと、不満や寂しさから不倫に走ってしまうケースがあります。パートナーとの関係を修復し、一緒に過ごす時間を増やすことが大事だと思います。
不倫のリスク
夫婦には貞操権があります。したがって、不倫は夫婦の権利を侵害する違法行為となり、不倫がバレたときには、被害者から慰謝料請求、離婚請求が行われます。以下に挙げるのは、不倫がバレたときのリスクです。
慰謝料を請求される
不倫により夫婦の貞操権を侵害しているので、慰謝料を請求される可能性があります。慰謝料を請求されるのは、配偶者、配偶者の不倫相手、その両方のいずれかになります。
不倫慰謝料の相場は、結婚期間、不倫期間、不貞行為の回数、収入、資産、などにより決まりますが、50~300万円あたりが相場となります。

ただし、上図のような既婚者同士の不倫(W不倫)では、以下の流れとなり、どちらの夫婦も実質的に慰謝料を獲得できない可能性があります。
①.A妻がB妻に慰謝料を請求する
②.B夫妻に共同の費用負担が生じる
③.B夫がA夫に慰謝料を請求する
④.A夫妻に共同の費用負担が生じる。①で得た慰謝料請求が打ち消される。
不倫による慰謝料請求は状況によっては拒否できます。以下に挙げるのは、慰謝料を拒否できる条件です。
肉体関係が無い恋愛関係、例えばハグ、キスをするだけの関係である場合、不貞行為にならず慰謝料の支払いを拒否できる可能性が高いです。
ただし、交際が度を過ぎており夫婦の円満な関係を破壊したのであれば、慰謝料を支払う必要がある場合もあります。また、肉体関係があったかどうかは、証言だけではなく、メール内容やホテルに入った写真などで推察が行われます。
相手が既婚者であることを知らなかった場合は、慰謝料の支払いを拒否できる可能性があります。
知らなかったというのは主観なので、不倫相手が「既婚者であることを知らなかった」と言えば、慰謝料請求はできないようにも思えます。しかし、生活場所や生活サイクル等を秘匿したまま長期間交際することは難しいので、交際期間が長くなればなるほど、既婚者であることを知らなかったと主張するのは難しくなります。
不倫が原因で婚姻生活が破綻したことを理由に慰謝料請求が行われるため、前提として、不倫前は婚姻生活が破綻していなかったことが必要となります。
そのため、不倫する前に既に長期間別居しているなど、婚姻関係が破綻していたと推察される場合には、慰謝料の支払いを拒否できる可能性があります。同様に、別居はしていないが、DVの被害を受けていた場合なども、すでに婚姻生活が破綻していたといえるため、慰謝料の支払いを拒否できる可能性があります。
不倫相手の配偶者、または配偶者が不倫の事実を知ってから3年経過した場合、慰謝料請求は時効となります。また、不倫の事実から20年経過した場合も時効となります。
ただし、不倫が離婚理由となった場合、離婚理由を作ったことに対して慰謝料を支払う義務は別に生じます。
証拠が不十分である
不倫慰謝料の請求は、不倫相手との肉体関係を示す証拠を相手が持っていないと成立しません。以下に挙げるのは、不倫の証拠になるものです。
- 不倫相手とラブホテルに出入りしている場面の写真、動画
- 不倫相手の家に何度も長時間出入りしている場面の写真、動画
- 性行為の場面の写真、動画
- 不倫を自白した文書や録音
- 探偵、興信所による報告書
- 肉体関係があったことがはっきりと分かるメール、LINE
- ラブホテルのレシート、カードの利用明細
なお、不倫の証拠は、それ1つでは不十分でも、いくつかを組み合わせることにより、不倫の証拠とできることもあります。
離婚を要求される
不倫した側は離婚を要求されると、法的には拒否することができません。不倫は民法770条1項各号の離婚理由であるため、夫婦の合意がなくても、一方的に離婚をすることができます。
(参考)民法770条1項各号の離婚理由
1.不貞行為
2.悪意の遺棄
3.配偶者の生死が3年以上明らかでない
4.配偶者が強度に精神病にかかり、回復の見込みがない
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由
不倫をした側は離婚したくなくても、パートナーが離婚したいと望む場合、離婚を受け入れるしかありません。離婚を避けるためには、不倫相手と二度と連絡しない旨の誓約書を書くなどし、パートナーの離婚の意志を変える必要があります。
なお、以下の離婚条件については、不倫により離婚するからといって不利になるわけではありません。
- 財産分与
- 親権
- 養育費
- 面会交流
手切れ金を要求される
既婚者側(Aさん)が不倫をやめ、不倫相手と別れようとしたとします。そのとき、不倫相手がAさんに対して、捨てられたなどの被害者意識を感じ、Aさんに手切れ金を要求するケースがあります。
実は、不倫相手は法的には被害者として扱われず、Aさんに手切れ金を請求する権利はありません(夫婦の貞操権に対する加害者側となります)。しかし、Aさんは以下のような理由から自主的に手切れ金を支払う可能性があります。
- 不倫関係を清算する後ろめたさを軽減する。
- 手切れ金と引き換えに、不倫相手が配偶者に不倫の事実を話さないことを約束する。
手切れ金の相場ですが、法律的に支払う義務がなく判例がないため、判例と比較して決めることができません。そのため、不倫期間の長さ、お互いの収入、妊娠・中絶の有無などの客観的な指標の他に、お互いの気持ちというものが大きな要因となります。目安としては10万円~300万円となります。
なお、不倫関係を解消した後に、再び会うことは避けた方がいいので、分割払いではなく一括払いとすべきかと思います。
不倫がバレるきっかけ
いつも一緒に過ごしている家族には、ふとしたきっかけから不倫がバレてしまうものです。また、不倫の期間が長くなればなるほど不倫を隠しきることは難しくなります。以下に挙げるのは、不倫がバレてしまうきっかけです。
知り合いに目撃される
不倫関係の2人は、知り合いがいない場所で会うと思いますが、それでも知り合いに目撃される可能性が全くないわけではありません。
その際、2人でホテルに入る、手をつなぐなどの明らかに不倫と思われる行為をしていなかったとしても安心できません。その後、知り合いの間でウワサとなってしまうと、不倫が発覚する可能性は高くなります。
SNSからバレてしまう
Facebook、Twitter、インスタグラムなどで不倫関係の2人の写真を投稿しまうことで、不倫がバレてしまうケースがあります。
また、直接的に2人の写真を投稿しなかったとしても、背景、位置情報から同じ場所にいることが推察され、不倫がバレてしまうケースもあります。
携帯電話を見られる
不倫相手との連絡には携帯電話を使うかと思います。そして、電話やメール、チャットアプリなどで連絡を取ると必ず履歴が残ります。そのため、家族に携帯電話を見られると、それまでの不倫相手との秘密のやりとりが発覚する可能性があります。はっきりと不倫関係を示している履歴の場合は、慰謝料請求などに使用できる証拠となってしまいます。
また、家でケータイをいじる時間が増えた、頻繁に履歴を削除している、ことなどから不倫を怪しまれることもあります。
不倫がバレたときの対応
それでは、不倫がバレてしまった場合にはどうすればいいでしょうか。関係者に迷惑をかけていることは事実であるため、誠心誠意対応することが大切です。以下に対応方法を挙げます。
不倫関係を解消する
家族から不倫関係の解消を迫られる、知り合いから冷たい目で見られる、などの状況で不倫関係を継続することはできないと思いますので、まずは不倫関係を解消することになるかと思います。
穏便に不倫関係が解消できればいいですが、もめてしまうケースもあります。その場合は、弁護士に相談するのも一つの手かと思います。
弁護士に相談する
慰謝料請求、離婚要求、穏便な不倫関係解消、など解決しなければならない問題が山積みとなります。自分で解決できない場合は、弁護士に相談するのが良いかと思います。弁護士費用はかかりますが、あなたに代わり問題を解決してくれます。
不倫問題を当事務所に相談
不倫慰謝料の問題でお悩みでしたら、弁護士にご相談ください。
- 弁護士が依頼者様に代わり交渉
- 家族や職場に知られるリスクを下げる
- 24時間受付のスピード対応
法律問題の最適な解決方法は、ケースごとに全く異なります。東京アライズ法律事務所は、依頼者様と弁護士が対話を通じて、『最善の解決イメージ』を共有しながら動くことを心掛けています。
投稿者プロフィール

- 弁護士
- 弁護士。東京アライズ法律事務所所属。著作に「3訂 終活にまつわる法律相談 遺言・相続・相続税」、「相続実務が変わる!相続法改正ガイドブック」など。モットーは依頼者様と弁護士が対話を通じて、『最善の解決イメージ』を共有すること。
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