美人局の被害にあってしまったら。不倫との違いは?

 

美人局(つつもたせ)というのは、夫婦が共謀し、妻が他の男と肉体関係を持った後に夫が現れて、金銭を要求する詐欺行為です。これは不倫に対して、夫が不倫慰謝料を請求しているようにも見えますが正しいでしょうか?被害者は金銭を支払うしかないのでしょうか?

本ページでは、その疑問への回答として、美人局と不倫の違いについて説明します。合わせて美人局にあってしまったらどうすればいいかについても説明します。

 

美人局とは?

美人局とは?

美人局という単語は日常生活の中で聞き慣れない単語だと思います。改めて定義を確認すると、美人局とは夫婦が共謀の下で、妻が他の男と肉体関係を持つ、または持とうとしたところに夫が現れて法外な金銭や物品を強要する行為それ自体、またはそれを行う人のことを指します。

いくつか具体例を挙げて説明します。

  • 女性と肉体関係をもった数日後、その夫を自称する男性から連絡があり写真やビデオといった証拠を提示され、示談金を請求された。
  • 意気投合した女性からホテルに行こうと誘われついていった。ところがホテルで女性の夫を自称する男性が待ち構えており、慰謝料請求と言いがかりをつけられ法外な金銭を要求された。

などです。昨今はネット上での出会いが発達しており、出会い系サイトを通じた美人局、LINEを通じた美人局、など手口が多様化し、手法も巧妙になっています。

そして、被害にあった男性は、以下の理由などから、要求通りに金銭を支払ってしまう可能性が高いと考えられます。

  • 結婚している女性と肉体関係を持ったので、女性の夫が不倫慰謝料を請求するのは、貞操権の侵害として法律的に正しいように男性側からは見える。
  • 結婚している男性が美人局の被害に遭った場合、金銭を支払わないことで、自分の妻に発覚することを恐れる。

美人局の刑罰は?

美人局の刑罰は?

現実問題としては泣き寝入りになってしまうことも多々ある美人局トラブルですが、詐欺罪にあたる犯罪です。場合によっては恐喝罰にもなる可能性があります。

詐欺罪

パートナーを使って第三者を騙したうえで金銭や物品をゆすり取ろうというわけですから、詐欺罪(刑法246条)となる可能性があります。

条文では
1.人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
とされています。

ただし、美人局の女性とその夫は共謀している訳ですから、共謀して詐欺を働いたということを立証することは簡単ではありません。

恐喝罪

また、金銭や物品をゆすり取ろうという段階で恐喝に該当する行為がなされた場合、恐喝罪(刑法249条)となる可能性があります。

条文では、

1.人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下 の懲役に処する。
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

とされています。

 

美人局と不倫の違い

美人局と不倫の違い

美人局と不倫の違いを考えます。美人局とはいえ、実際に結婚している女性と肉体関係を持った、持とうとしたので、女性の夫が不倫慰謝料を請求するのは、法律的に正しいということになるのでしょうか?

まず、そもそも不倫慰謝料を支払う必要があるかを確認するのが良いかと思います。以下の条件に該当すれば、不倫慰謝料を支払う必要はありません。

  • 相手と肉体関係がない
  • 既婚者であることを知らなかった
  • 相手の婚姻関係が破たんしていた

一晩限りの相手に対し、相手の婚姻関係が破たんしていたことを立証するのは難しいですが、そもそも美人局の女性と夫に婚姻関係がないという場合もあります。

次に、警察に相談するなどして、美人局の女性とその夫の共謀を立証することを考えると良いかと思います。共謀しているのであれば、夫は妻が不倫することを認めていることになります。そのため、貞操権の侵害とはならず、不倫慰謝料を払う必要はなくなります。

美人局に遭ってしまったらどうすればいいか?

美人局トラブルに巻き込まれた場合、金銭や物品を一度渡しても解決せず、金銭や物品を出しやすい相手と認識され、さらに金銭や物品を要求されるケースもあります。

美人局は犯罪行為ですので、可能であれば警察に被害届を出すのが良いかと思います。

ただし、警察に被害届を出すと、事情聴取、実況見分などが行われ、頻繁に警察とのやり取りを重ねることになります。そのことを通じて、美人局との件が、妻や家族にバレる可能性は高いです。

妻や家族に知られたくない場合は、弁護士に相談し代理人となってもらうと良いかと思います。家族や自分に相手から連絡がくることがなくなりますので、美人局との件を家族に知られる可能性が低くなります。

 

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投稿者プロフィール

吉川 樹士
吉川 樹士弁護士
弁護士。東京アライズ法律事務所所属。著作に「3訂 終活にまつわる法律相談 遺言・相続・相続税」、「相続実務が変わる!相続法改正ガイドブック」など。モットーは依頼者様と弁護士が対話を通じて、『最善の解決イメージ』を共有すること。