不倫解消後のストーカー行為について

「不倫関係を解消後にストーカー行為を受けているがどうしたらいいか」

「不倫関係がこじれてしまい、自分の行為がストーカー行為となっていないか心配だ」

などのお悩みをお持ちの方向けの記事です。法律的な内容を中心に以下について説明します。
 

不倫関係からストーカーに

不倫関係からストーカーに

不倫関係からストーカーになってしまうケースは、テレビドラマや映画だけの世界ではなく、現実にも存在します。

不倫の場合、どちらかには配偶者がいますので、当然ながら会うことができる時間や場所などが限られてしまいます。場合によっては、数週間や数カ月間にわたって会えないことになるかもしれません。そのような状態が続くことにより、片方の気持ちが一方的に募り、ストーカー行為の引き金になってしまう可能性があります。

また、配偶者がいる側と、そうでない側の相手への気持ちに、温度差があると、不倫関係の一方的な解消につながります。すると、一方的に関係を解消された側の、解消した側への恨みが、ストーカー行為の引き金になってしまう可能性があります。

 

ストーカー行為とは?

ストーカー行為とは?

ストーカー行為とはどのような行為を指しているのでしょうか。『ストーカー規制法』で「ストーカー行為」は「つきまとい等」を反復して行う行為と規定されています。

つきまとい等

『ストーカー規制法』で「つきまとい等」は、恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、相手や家族等に対して行う以下の行為として規定されています。

ア つきまとい・待ち伏せ・押し掛け・うろつき等
イ 監視していると告げる行為
ウ 面会や交際の要求
エ 乱暴な言動
オ 無言電話、連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNS等
カ 汚物等の送付
キ 名誉を傷つける
ク 性的しゅう恥心の侵害

警視庁サイトより引用しました

 

なお、同性間でも恋愛感情を伴うつきまといであれば、ストーカーに該当します。
規定によれば、異性をターゲットにしたつきまとい行為でも、恋愛感情がない場合にはストーカー行為には該当しません。しかし、その場合は脅迫や名誉毀損など別の罪となるケースが多いです。

ストーカー行為

「ストーカー行為」は、同一の者に対し「つきまとい等」を繰り返し行う行為として規定されています。

ただし、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われた「つきまとい等」に限っています。

 

ストーカー行為の罰則

ストーカー行為の罰則

ストーカー行為は犯罪で、取り締まる法律として『ストーカー規制法』があります。

2017年の改正施行により、ストーカー行為は被害者による被害届がなくても、警察が犯人を逮捕できる「非親告罪」となりました。また、罰則についても厳罰化される流れとなっています。

ストーカー行為に対しては、被害者が警察に申し出ることで警察から相手に禁止命令を行うことができます。その禁止命令が行われた前か後かにより罰則の重さが変わります。

ストーカー行為をした場合1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金
禁止命令に違反してストーカー行為をした場合2年以下の懲役又は200万円以下の罰金
禁止命令にストーカー行為以外で違反した場合6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金

ストーカー行為を受けた場合の対応

ストーカー行為を受けた場合の対応

ストーカー行為を受けているとはいえ、元々不倫関係で親密な関係にあった相手であるため、直接の電話やメール、知り合いを含めた話し合いにより解決できる可能性もあります。

そのような対応を行っても解決しなかった、直接対応を行うのは怖い、などの場合は、弁護士に相談する、警察に相談する、などの方法があります。

証拠を残すこと

弁護士に相談するにせよ、警察に相談するにせよ、対応を進めやすくするために、ストーカー行為を受けた証拠を残すことが重要です。

ストーカー行為を示すメールは消さずに保管してください。SNS(Twitter、LINEなど)は記入者が削除できるようになっているので、削除される前に写真を撮って保管します。スクリーンショットは加工しやすく、改ざんしたと疑われる可能性があるので、可能であれば写真を撮って保管してください。

また、ストーカー行為を示す電話や、直接の言動については、スマホの録音アプリを利用するなどし保管します。贈り物については盗聴器が仕掛けられている、汚物であるなど保管が困難なケースもありますので、その場合は証拠写真を撮ります。

弁護士に相談する

ストーカー行為は犯罪ではありますが、ストーカー行為を行っているのが不倫相手である場合は、以下の理由で警察に相談したり、被害届を出したくないと思うかもしれません。

  • 親密な関係にあった相手を犯罪者にしたくない。話し合いで解決したい。
  • 警察に不倫について話したくない。
  • 警察の見回り、逮捕などの対応から、不倫関係が家族や職場にバレてしまう。

その場合は、弁護士に相談することで解決できる場合もあります。内容証明郵便で関係は解消されている旨を通知したり、ストーカー行為の慰謝料請求を行うことで、ストーカー行為を止めさせるように試みます。

弁護士は法律の専門家ですので、最も良い対応方法を検討する心強い味方にもなります。

警察に相談する

「ストーカー行為」は犯罪ですので、警察に相談する、または被害届を出して対応してもらうことが可能です。悪質なストーカー行為を受けている場合には、すぐに警察に相談すべきかと思います。

警察はストーカー行為を行っている相手に、ストーカー行為を止めるよう警告、禁止命令を行います。警告や禁止命令をしたにもかかわらず、ストーカー行為を止めない場合は逮捕し、刑事罰を負わせます。悪質なストーカー行為の場合は警告、禁止命令を行わずに、直ちに逮捕することもあります。

不倫について話すのは嫌でしょうし、また不倫について家族や職場にバレてしまう可能性は高くなりますが、警察には嘘をつかずに事実を説明するのが良いかと思います。嘘をついてしまうと、警察の対応や捜査に支障をきたす恐れがあるからです。

警察への相談後は警察からの指示に従い、相手からのアプローチなどがあれば警察に伝えるようにしてください。

 

ストーカー行為を行わないための対応

不倫関係がこじれてしまい、自分がストーカー行為をしていないか心配な場合は、自分の行為が、前述の「ストーカー行為とは?」の項目に当てはまらないか確認されると良いかと思います。警視庁のサイトにはさらに具体的な説明がありますので、こちらも参照されると良いかと思います。

また、ストーカー行為を止めるよう、弁護士からの内容証明が届いたり、警察からの警告、禁止命令が行われた場合には、相手がストーカー行為を立証できるという状況になっていると考えられますので、直ちに行為を止めるべきと考えます。

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法律問題の最適な解決方法は、ケースごとに全く異なります。東京アライズ法律事務所は、依頼者様と弁護士が対話を通じて、『最善の解決イメージ』を共有しながら動くことを心掛けています。

投稿者プロフィール

吉川 樹士
吉川 樹士弁護士
弁護士。東京アライズ法律事務所所属。著作に「3訂 終活にまつわる法律相談 遺言・相続・相続税」、「相続実務が変わる!相続法改正ガイドブック」など。モットーは依頼者様と弁護士が対話を通じて、『最善の解決イメージ』を共有すること。