兄弟姉妹での実家の相続について

兄弟姉妹で実家を相続するケースについて

本記事では、両親が亡くなった場合の、兄弟姉妹での実家の相続について説明します。

「両親と同居しており、両親が亡くなった後も実家に住みたい」

「相続財産の多くを占める実家を独り占めしていいのか」

「相続財産が実家しかなく分けられない」

などのお悩みをお持ちの方向けの記事です。
まず、「不動産の遺産分割方法」、「遺言書」、「遺留分、法定相続分」について説明を行います。その後、それぞれのお悩みについて説明を行います。

不動産の遺産分割方法

不動産の遺産分割方法

まずは、一般的に不動産(土地・建物)の遺産分割方法について説明します。以下の4つの方法があります。

  • 現物分割
  • 共有分割
  • 代償分割
  • 換価分割

現物分割

共同相続人において不動産を現実に分けて分割することをいいます。
土地の所有者は登記所(法務局、地方法務局、その支局及び出張所)にて管理されています。そして、1筆という単位で地番がつけられ、地番ごとに所有者が登記されています。

相続人の間で、1筆単位で分割取得する方法があります。2人の相続人が2筆ある土地を1筆ずつ分割取得する例を示します。

相続前)
地番:〇〇一丁目1番
土地所有者:親1

地番:〇〇一丁目2番
土地所有者:親1

相続後)
地番:〇〇一丁目1番
土地所有者:子1

地番:〇〇一丁目2番
土地所有者:子2

1筆の土地が相続された場合は、1筆を2筆として登記し直すことができます。これを分筆といい、主に司法書士により行われます。
そのうえで、1筆ずつに分割して相続することができます。2人の相続人が1筆ある土地を分筆の上で1筆ずつ分割取得する例を示します。

相続前)
地番:〇〇一丁目1番
土地所有者:親1

相続後)
地番:〇〇一丁目1番1
土地所有者:子1

地番:〇〇一丁目2番2
土地所有者:子2

土地上に居住家屋がある場合には、分筆が困難となりますので、現物分割以外の方法を考えることとなります。
実家の相続では現物分割は行えないケースが多いかと思われます。

共有分割

共有分割とは、不動産を現物のまま相続人の間で分割したいが、現物分割が困難な場合に、当該不動産の持分を法定相続分などの割合で決め、その割合で共有名義にすることをいいます。

例)
地番:〇〇一丁目1番
土地所有者:親1

地番:〇〇一丁目1番
土地所有者:子1:70%、子2:30%

共有分割は、遺産分割手続き上簡易な方法です。しかし、後に一方の相続人が不動産を売却したくなった場合や、固定資産税の支払いをやめたくなった場合などに、共有物の分割請求訴訟の提起という、共有状態の解消のための裁判に発展する可能性があります(民法258条1項)。
その際、資金不足により他の相続人の持分の価格賠償ができない場合には、不動産を現物のまま残したくても、裁判所によって競売を命ぜられる場合もあります(同条2項)。
また、共有者の一部が死亡した場合に、更にその相続人が共有者となって権利関係が複雑になってしまうケースがあります。

共有分割にすることは後日、相続人の間に問題を残すおそれが大きいので、避けるのが良いと考えます。

代償分割

代償分割とは、不動産取得により遺産を多く取得した相続人が、他の相続人に対して代償金を支払い、共同相続人の間の過不足を調整する分割方法をいいます。

不動産を取得する相続人に現金、預貯金などがある場合には、本方法で公平に遺産分割を行うことができます。
また、亡くなった親と同居しており今後も実家に住みたい、店を継ぎたいなど、実家を取得したい相続人がいる場合には、本方法は有効な選択肢となります。
ただし、不動産を取得する相続人に現金、預貯金などがない場合には、代償分割はできないことになります。

また、代償分割とは異なりますが、相続財産として不動産の他に現金、預貯金などが十分にある場合、ある相続人は不動産を受け取り、他の相続人はその代わりに現金、預貯金を受け取ることで公平に遺産分割を行うことができます。

換価分割

換価分割とは、不動産を売却してその代金を共同相続人に分配する分割方法をいいます。換価分割は、金銭による清算という点で簡明です。
売却額から仲介手数料などの経費を差し引いた額に譲渡所得税が課されます。
ただし、亡くなった親と同居しており今後も実家に住みたい、店を継ぎたいなど、実家を取得したい相続人がいる場合には、本方法はその意向に反することになります。

遺言書

遺言書

親が遺言書を残しており、相続割合の指定がある場合には、原則的にはその相続割合にて遺産分割を行うこととなります。
ただし、相続人の最低限の相続割合は遺留分という形で法律上保障されています。遺留分については次項で説明します。

遺言書には、例えば、実家は売却して売却額を子どもで均等に分割してほしい旨、実家は長男に相続させ長男から代償金〇〇円を他の子どもに支払ってほしい旨などを記載します。

理想的には親のご存命中に子どもと遺産分割方法について話し合い、その結果を遺言書に記載することが良いかと考えます。

遺言書の方式、作成方法について知りたい方は以下のリンクをご参照ください。
有効な遺言書を作成したい

遺留分、法定相続分

遺留分、法定相続分

相続人が子どものみの場合の、遺留分、法定相続分について説明します。

<親が遺言書を残しているケース>

原則的に、遺言書の相続割合に従い遺産分割を行うことになりますが、遺言書での相続割合の指定に関わらず、相続人の最低限の相続割合は法律上保障されており、これを遺留分といいます。例えば、被相続人である実母が、長男に全ての遺産を相続させるという遺言書を作成して亡くなったとしても、次男は一定の割合の遺産を相続する権利があり、全てを相続した長男に請求を行うことができます。

<親が遺言書を残していないケース>

民法で定められた相続財産の分け方を法定相続分といいます。両親が亡くなり相続人が子どものみの場合、相続財産を子どもで均等に分ける分け方が法定相続分になります。
相続割合は法定相続分にとらわれずに、相続人の間の遺産分割協議にて自由に決めることができます。しかし、相続人の間で意見がまとまらず、審判に移行した場合は、法定相続分で遺産分割を行うことになります。
また、遺産分割協議の目安として法定相続分を使用することもできます。

子どものみが相続人の場合の法定相続分、遺留分は以下の通りです。

<法定相続分>
相続財産を子どもの人数で分けます。
例)子供2人のみが相続人の場合。

<遺留分>
相続財産の2分の1を、子どもの人数で分割します。
例)子供2人のみが相続人の場合。

 

法定相続分、遺留分の詳細は以下の記事をご参照ください。
法定相続分と遺留分の違い

亡くなった親と同居しており、今後も実家に住みたい

亡くなった親と同居しており、今後も実家に住みたい

前述の、不動産の遺産分割方法の中から代償分割を選択することになります。いずれかの相続人が実家を相続し、その後、相続分が公平になるように他の相続人に対して代償金を支払う方法です。代償金については、事前に相続人の間で合意し、遺言書の中で指定しておくのが理想的かと考えます。

その際、代償金も含めた相続分が遺留分に満たない場合には、実家を相続した相続人にその分を請求する権利が生じます。後々に争いが起こる可能性をなくすためには遺留分を侵害しない分割とするのが良いのではないかと考えます。

また、遺言書を残さなかった場合には遺産分割協議にて遺産分割を決めることとなりますが、いずれかの相続人が実家を相続した場合には、その他の相続人に遺留分ではなく法定相続分の請求をする権利が生じ、遺言書を残した場合よりも代償金の金額が上がります。また、実家をそのまま相続してよいかについて揉める可能性もあります。
そのため、遺言書は残すのが理想的かと思います。

相続財産の多くを占める実家を独り占めしていいのか

相続財産の多くを占める実家を独り占めしていいのか

「亡くなった親と同居しており、今後も実家に住みたい」の項目で説明したように、代償分割という形で、実家を取得した分、他の相続人に対して代償金を支払い、相続分が公平になるようにします。
不動産を取得する相続人に現金、預貯金などがなかった場合、代償分割はできません。しかし、遺産分割協議にて相続人の間で、代償金を支払わないという合意が行われるのは問題ありません。

相続財産が実家しかなく分けられない

相続財産が実家しかなく分けられない

前述した不動産の遺産分割方法の中から考えてみたいと思います。
まず、土地上に建物があるため、共同相続人において実家を現実に分ける現物分割は困難です。
また、実家を共有とする共有分割は、後日、分割請求訴訟の提起がおこなわれる、権利関係が煩雑になるなどの可能性があるため、避けるのが良いと考えます。

「亡くなった親と同居しており、今後も実家に住みたい」の項目と同様に、代償分割という形で、実家を取得した分、他の相続人に対して代償金を支払い相続分を公平にする方法は選択肢の一つかと思います。

また、実家を売却してその代金を共同相続人に分配する換価分割を行う方法も選択肢の一つです。

もし、実家を売却するのであれば、生前の内に売却して老人ホームに入居する方法もあります。また、リバースモーゲージを利用して、実家を担保として生活資金の融資を受け、年金のように毎年一定額を受け取り、死亡時などに自宅を売却処分して借入金を一括返済するという方法もあります。

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