遺留分減殺請求の内容証明郵便が届いた
遺言に従い遺産相続を行ったところ、突然親戚から遺留分減殺請求の内容証明郵便が届いたが、どうすればいいのか分からない。相手の請求が正しいのか確認したい。
本ページでは、そのような方のために、遺留分減殺請求の内容証明郵便が届いたときに考えるべきことについて説明します。
内容証明郵便とは
遺留分減殺請求は内容証明郵便で送られてくるケースが多いです。内容証明郵便では、どんな内容の郵便を送ったかという証拠として、郵便局に郵便物のコピーが5年間残ります。また、内容証明の他にも、郵便をいつ配達したかを記録する配達証明郵便などが併用されているケースも多いです。
送り手は、あなたに、いつ、どんな内容の遺留分減殺請求を行ったという証拠を残していることになります。また、時効の直前であれば、実際に請求できるかは別の話として、とりあえず遺留分減殺請求を行使し、時効にならないようにしている可能性も考えられます。
遺留分減殺請求を無視すると、調停、裁判へと発展する可能性があるかと思われます。お互いの調停、裁判にかかる時間、費用などを考慮すると、調停、裁判前に協議で解決したほうがお互いにとって良い解決になる場合もあるため、基本的には無視せずに回答する方が良いかと思います。
遺留分を請求する権利があるか?
請求者に遺留分を請求する権利があるかどうかを確認します。
遺留分請求の権利者は下記になります。
- 配偶者は必ず権利を持つ
- 直系卑属(子供、子供が亡くなっていれば孫、孫が亡くなっていればひ孫)は必ず権利を持つ
- 直系尊属(両親)は、直系卑属がいない場合、権利を持つ
※兄弟姉妹は遺留分請求の権利を持ちません。
相続額、遺留分について確認する
請求者の相続額が法律で定められた遺留分より多い、または、あなたの相続額が法律で定められた遺留分より少ないならば、遺留分減殺請求に応じる必要がない可能性が高いです。
ただし、生前贈与や不動産などがあり、専門家でないと相続額、遺留分を算出することが難しいケースもあります。
法律で定められた遺留分の割合については以下の通りです。
1.直系尊属(両親)のみが権利者である場合
亡くなった方の財産の3分の1を両親の数で分割します。
例)父、母ともにご健在の場合
2.直系卑属又は配偶者が権利者に含まれる場合
亡くなった方の財産の2分の1を権利者で分割します。以下ケース別に説明します。
2-1.配偶者のみが相続人の場合
配偶者が2分の1を取得します。
2-2.子供のみが相続人の場合
子供の人数で2分の1を分割します。
例)子供が2人の場合
2-3.配偶者と子供が相続人の場合
2分の1の内、配偶者が半分取得し、残りを子供の人数で分割します。
例)子供が2人の場合
2-4.配偶者と両親が相続人の場合
2分の1の内、配偶者が3分の2を取得し、残りを両親の数で分けます。
例)父、母ともにご健在の場合
時効でないか
遺留分減殺請求権が時効でないか確認します。
遺留分減殺請求権は遺留分権利者が、相続開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年間行使しないと時効により消滅します。また、相続開始の時から10年を経過したときも同様に消滅します。
遺留分減殺請求の内容証明が届いた場合、本ページの内容などについて考えることが必要となると思います。
自身の状況について詳細に相談したい、代理人を依頼したいなどのご要望があれば、当事務所へのご相談をご検討頂ければと思います。
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投稿者プロフィール
- 弁護士。東京アライズ法律事務所所属。著作に「3訂 終活にまつわる法律相談 遺言・相続・相続税」、「相続実務が変わる!相続法改正ガイドブック」など。モットーは依頼者様と弁護士が対話を通じて、『最善の解決イメージ』を共有すること。
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