相続財産に含まれるもの、特徴について

相続財産に含まれるもの
プラスの財産
現金、預貯金、小切手
現金、預貯金、小切手は、もちろん相続の対象となります。
株券、債券
相続後は、証券会社に連絡し名義変更を行うことになります。
金銭債権(貸したお金)
なお、相続により新たな債権者が決まるまで、債務者から借金が返せなくなってしまうケースがあります。その場合は、債務者は法務局に返済金を預けることで返済に替えることができます(弁済供託)。
また、複数の相続人で遺産分割する場合は、窓口を一本化するなど回収に工夫が必要となるケースもあります。
貴金属、家財道具、自動車、など
遺産分割や相続税など、評価額が必要な場合は相続時の時価を算出します。
時価は取得価額と経過年数や、実売価格、専門家による鑑定、などによって算出されます。
土地、建物
遺産分割や相続税など、評価額が必要な場合は相続時の評価額を算出します。
土地の評価額は、路線価図を基に計算する路線価方式と、固定資産税評価額に一定の倍率をかけて計算する倍率方式があります。路線価図は、宅地の所在地の税務署などに備えられています。また、建物の評価額は固定資産税評価額により評価します。
ゴルフ会員権
ゴルフ会員権のほとんどは預託金会員制です。
預託金会員制は、預託金の納付後、一定期間経過後に預託金の返還請求権が発生しますので、会員である被相続人が死亡した場合、その相続人はこの預託金請求権を相続することになります。なお、ゴルフクラブによっては、会則で会員の死亡を資格喪失要件として定めている場合がありますが、この場合は会員資格の一身専属性が認められる(最判昭和53年6月16日判時897号62頁)ので、会員資格は相続の対象となりません。
死亡事故の損害賠償、慰謝料請求権
死亡事故(例えば、被相続人が交通事故で亡くなった)場合、亡くなった方の逸失利益の損害賠償請求権は相続されます。また、亡くなった方の精神的苦痛に対する慰謝料請求権も相続されます。
権利
借地権、借家権
土地、家を賃借している場合、その権利も原則として相続の対象となります。
著作権、特許権
著作権や特許権等の無形財産権も相続の対象となります。
著作権の相続については特別の手続きはありませんが、特許権の相続については遅滞なく相続した旨を特許庁長官に届け出る必要があります(特許法98条2項)。
形成権
形成権とは、相手の承諾がなくても、権利者の一方的な意思表示によって法律効果を生じさせる権利で、意思表示の取消権、契約の解除権、などがあります。被相続人が持っていた形成権も相続の対象となります。
マイナスの財産
借金
借金(債務)も原則として相続の対象となります。
プラスの相続財産よりもマイナスの相続財産が多く、相続を行うと借金を抱えてしまう場合には、相続放棄を行うという選択肢もあります。
相続財産に含まれないもの
生命保険金
生命保険金とは、例えば、保険契約者が甲を被保険者とし、乙を保険金受取人として生命保険契約を締結している場合に、被保険者甲が死亡すると保険金受取人乙に支払われる保険金のことをいいます。
生命保険金は、保険金受取人が保険契約に基づく固有の権利として取得するもので、相続財産に含まれないとするのが通説・判例(最判昭和40年2月2日民集19巻1号1頁等)です。したがって、例えば、夫が妻を生命保険金の受取人として指定し死亡した場合、妻が死亡保険金請求権を取得することになり、遺産分割の対象とはなりません。ただし、生命保険金はみなし相続財産として相続税の対象にはなりますのでご注意ください。
死亡退職金
死亡退職金は、公務員や民間企業の従業員が在職中に死亡した場合に支給される退職金です。
死亡退職金の受給権者が誰かについては、通常、公務員の場合には法律や条例で定められ、また、会社の場合には就業規則・労働協約等で定められています。一般に、受給権者の範囲および順序は、①配偶者(内縁を含む)及び子、②父母(養父母が実父母に優先)、③孫、④祖父母等と定められている場合が多いようです。このような定めがあるときは、受給権者である遺族固有の権利といえますので、相続財産とはならないと解されます。ただし、死亡退職金はみなし相続財産として相続税の対象にはなりますのでご注意ください。
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投稿者プロフィール

- 弁護士
- 弁護士。東京アライズ法律事務所所属。著作に「3訂 終活にまつわる法律相談 遺言・相続・相続税」、「相続実務が変わる!相続法改正ガイドブック」など。モットーは依頼者様と弁護士が対話を通じて、『最善の解決イメージ』を共有すること。
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