婚約中の不倫のリスク

「婚約中にパートナーに不倫をされた」

「婚約中に不倫をしてしまった」

などのお悩みを持つ方のための記事です。

婚約中なら結婚前なので不倫にはならないと考えている人も少なくないでしょう。しかし、婚約とは法的な効果を持つ契約の一種と考えられており、婚約中の不倫も結婚後の不倫と同じように扱われます。

そこで、この記事では婚約時に不倫が発覚した場合に、どのようなリスクを負うことになるのか、その対応について解説します。

 

婚約とは?

婚約とは?

婚約とはその名の通り「結婚の約束をすること」を言います。しかし、婚約には結婚する時の婚姻届のような書類や法的な手続きが必要なく、婚約を結んでいるかどうかは曖昧になりやすいです。そのため、一般的に婚約を結んでいるかどうかは自分たち以外の第三者に結婚する意思があるかを伝えているかどうかで判断することとなります。

周囲に婚約を伝える方法としては日本だと結納が有名です。結納には両家の両親・兄弟、仲人が参加するのが一般的で、婚約の印として結納品を交換します。それ以外にも婚約式・婚約パーティという形式で周囲に婚約を伝えるという手段もあります。しかし、これらの手段をとる場合、手間や費用がかかってしまうのが難点です。そのため、婚約を周囲に伝える手段としては婚約指輪を交換するのが一般的でしょう。

 

恋人との違い

恋人との違い

恋人と婚約者の違いは互いの関係に法律が絡むかどうかというのが大きいでしょう。恋人とは「恋の思いを寄せる相手」とされており、恋人に年齢や既婚者であるかどうかなどによる制限はありません。したがって不倫相手でも互いに恋愛感情を抱いていれば恋人と言えるでしょう。もちろん恋人に関しては法律による制約が発生しないので万が一恋人以外に関係を持っている人がいても、それは法律違反にはならないことになります。

それに対して、結婚をすれば民法770条第1項1号より、夫婦間には貞操義務が発生し、不貞行為をしてはいけないとされています。万が一不倫をすれば貞操義務違反に当てはまり、損害賠償責任が発生します。婚約は結婚の約束であることから、婚約においてもこのルールが適用されることが多く、万が一婚約者が浮気をした場合、婚約していることを証明できれば損害賠償請求を行うことが可能です。

 

婚約時に不倫をしてしまうきっかけ

婚約時に不倫をしてしまうきっかけ

婚約を結んでいるのにも関わらず不倫をしてしまうのにはきっかけがあります。そこで、不倫に至るきっかけにはどのようなものがあるのか見てみましょう。

元カノ・元カレに婚約の連絡をして関係を持った

元カノ・元カレが学校の先輩・後輩だった場合などは、他の友人に連絡を取るついでに元カノ・元カレにも報告の連絡をする人が多いです。しかしこの場合、久々に2人でご飯を食べに行くなどしたのをきっかけに今の彼女・彼氏と元カノ・元カノを比べてしまい、それによって関係が再燃してしまうことがあります。

最後に自由に恋愛がしたかった

結婚をすればもう他の女性と関係を持つことはできなくなります。そのため、結婚して落ち着く前に、恋愛のドキドキ感を味わいたいと思って不倫に走ってしまう人もいます。

刺激が欲しかった

浮気・不倫をする人の中には、バレるかバレないかのドキドキ感を楽しむ人も多いです。婚約中の不倫ももちろんバレてしまうと大きなリスクを負うこととなるので、そのリスクに魅力を感じて不倫に走る人もいます。

 

婚約時に不倫がバレた場合のリスク

婚約時に不倫がバレた場合のリスク

それでは万が一婚約中に不倫に走ってしまった場合のリスクにはどんなものがあるのでしょうか。

婚約破棄

婚約中の不倫が理由となり、パートナーに婚約破棄される可能性が高いです。不倫が、婚約破棄の原因となるため、不倫した側が結婚式場のキャンセル料、寿退社が原因で失った利益、などを負担することになります。

不倫慰謝料

婚約中の不倫は結婚後の不倫と同様に、民法770条第1項1号の貞操義務違反に当てはまる可能性があります。そのため、不倫された側から民事訴訟を起こされた場合、不倫した側は慰謝料を払うことになる可能性が高いです。

婚約中の不倫の慰謝料は50万円~300万円程度が相場と言われています。裁判にならなかった場合も不倫された側から示談金を請求されることもあり、示談金も同様に50万円~300万円程度になることから、大金を失うリスクを伴います。

不倫慰謝料は不倫された側が、婚約者、婚約者の不倫相手のどちらか一方、または片方に請求することができます。不倫慰謝料請求

慰謝料の請求には下記の条件が必要で。それぞれ客観的な証拠も必要となります。

<婚約が成立していた>
婚約が成立していたことが必要になります。

さらに、慰謝料を請求する状況ですので、婚約の成立をパートナーが否定する可能性もあります。そこで、客観的な証拠がある必要があります。

証拠になりやすいものとしては以下があります。

  • 結納
  • 両親顔合わせの食事会
  • 結婚指輪
  • 結婚式場の予約

口約束での婚約は、パートナーが婚約の意思はなかったと主張する可能性があり、証拠にはなりにくいと思われます。

<肉体関係があった>
基本的には肉体関係があった必要があります。

肉体関係があった証拠になりやすいものは以下があります。1つでは不十分でも、複数組み合わせることで証拠となることもあります。

  • 現場の写真、動画
  • 不倫を自白した文書や録音
  • 探偵、興信所による報告書
  • 肉体関係があったことが分かるメール、LINE
  • ラブホテルのレシート

<婚約していることを知っていた>
パートナーではなく不倫相手に慰謝料を請求する場合は、不倫相手があなたとパートナーが婚約していることを知っていた必要があります。

不倫相手が知らなかったと言ったとしても、交際期間や交際中に会っていた場所などを総合的に考慮して、婚約していることを知っていたかどうかは、判断されます。

キャリアに影響がある可能性も

基本的に不倫で裁判になった場合、職を失うことはありません。不倫は違法ですが、責任を負うのは婚約者に対してであり、会社に対してではないからです。

しかし、社内不倫で不倫相手が同じ部署だった場合は、職場の人たちに関係を知られて仕事がやりにくくなる可能性があります。

また、不倫により他の問題を起こしていないかということが重要になります。勤務時間中にデートを重ねて業務を怠っていれば問題となりますし、密会のために経費を流用していたとなれば業務上横領となります。また、婚約者が乗り込んできて業務妨害になっていれば問題となります。

そうした要因を押さえて、会社から自主退社を促すことも多いようです。また、人事異動の対象とすることがあるようです。

交友関係にも影響を及ぼす

やはり不倫は法を侵す行為なので、不倫をする人は非常識な人という考えを持っている人が大半です。そのため、周囲に不倫がバレてしまうと貞操観念が無い人と判断されてしまうでしょう。そうなれば友人や家族も自分から離れて行ってしまう可能性が高いです。

 

バレた後、やり直して結婚する場合

婚約中に不倫がバレたとしても相手のことを信じてやり直すというカップルもいます。しかし、この場合は再度不倫をしないようにしっかりと不倫をしたという事実を記録に残しておく必要があるでしょう。
バレた後、やり直して結婚する場合

不倫された側

パートナーへの不信感を軽減するために、誓約書を作成することも検討されると良いかと思います。内容は以下などになります。

  • 不倫相手と会わない、連絡を取らないこと
  • 慰謝料の支払いについて
  • 誓約に違反した場合の罰則(慰謝料、など)

不倫した側

不倫されたことは婚約破棄の理由として認められますので、パートナーに婚約破棄の意思があると、婚約破棄は避けられません。したがって、婚約者に許してもらい婚約破棄を考え直してもらう必要があります。

 

バレた後、婚約破棄する場合

婚約中に不倫が発覚して婚約破棄をする場合、その責任は不倫をした側にあるため、不倫をした側のリスクが大きいものとなります。

まず不倫をされた側は、不倫をしたパートナー、パートナーの不倫相手の双方に慰謝料を請求することができます。慰謝料の金額は2人が会っていた頻度・回数・期間などによって変動しますが、相場は大体50万円~300万円となります。

また、結納や婚約指輪の交換を済ませていた場合、これにかかった費用を不倫をしたパートナーに対して請求することも可能です。

さらに、妊娠していた場合には、認知の上、養育費を請求することが可能となります。

 

不倫問題を当事務所に相談

不倫慰謝料の問題でお悩みでしたら、弁護士にご相談ください。

  • 弁護士が依頼者様に代わり交渉
  • 家族や職場に知られるリスクを下げる
  • 24時間受付のスピード対応

法律問題の最適な解決方法は、ケースごとに全く異なります。東京アライズ法律事務所は、依頼者様と弁護士が対話を通じて、『最善の解決イメージ』を共有しながら動くことを心掛けています。

投稿者プロフィール

吉川 樹士
吉川 樹士弁護士
弁護士。東京アライズ法律事務所所属。著作に「3訂 終活にまつわる法律相談 遺言・相続・相続税」、「相続実務が変わる!相続法改正ガイドブック」など。モットーは依頼者様と弁護士が対話を通じて、『最善の解決イメージ』を共有すること。