ご近所不倫のリスク。引越し要求はできるか?

「ご近所不倫をしていることがバレてしまったがどうすればいいか。」

「ご近所不倫で、引越し要求はできるのだろうか。」

などのお悩みをお持ちの方向けの記事です。逆にパートナーが近所の人と不倫をしてしまい、

「パートナーがご近所不倫をしていることが分かった。どんな対応がとれるか。」

「パートナーがご近所不倫しているが、不倫相手に引越し要求できるだろうか。」

などのお悩みをお持ちの方にも役に立つ記事かと思います。 以下の目次に沿って説明します。

 

ご近所不倫が始まるきっかけ

ご近所不倫が始まるきっかけ

ご近所同士は、有益な情報交換が行えますし、協力して活動すべき機会もあります。そんな中で、ご近所で友人ができるのはよくあることかと思います。

ご近所同士で友人を作ることは良いことですが、そこから、片方あるいは両方が既婚者にもかかわらず、不倫関係に発展すると、違法な行為となってしまうので問題があります。

以下に挙げるようなことが、不倫につながるきっかけになるのかと思います。

子どもの活動で一緒になる機会が多い

子どものPTA活動、学校行事、クラブ活動、などで、近所の方と一緒になる機会は多いかと思います。長い時間一緒に過ごし、共に活動を進めていく中で、恋愛感情が芽生えるケースがあります。

地域の活動で一緒になる機会が多い

同様に地域の活動で、近所の方と一緒になる機会を通じて、恋愛感情が芽生えるケースがあります。

パートナーとの関係が上手く行っていない

パートナーとの関係がうまく行っていないと、不満や寂しさから不倫に走ってしまうケースがあります。パートナーとの関係を修復し、一緒に過ごす時間を増やすことが大事だと思います。

 

ご近所不倫がバレるきっかけ

ご近所不倫がバレるきっかけ

ご近所の人に見つかる

ご近所の多くの人は、不倫している双方の顔を知っていますし、同じ地域で生活しています。そのため、ご近所の人に2人でいるところを見つかってしまう可能性は高いです。

その際、2人でホテルに入る、手をつなぐなどの明らかに不倫と思われる行為をしていなかったとしても安心できません。その後、近所のウワサとなってしまうと、不倫が発覚する可能性は高くなります。

自宅で会っているところを見つかる

ご近所に住んでいるため、パートナーが出かけている間に、不倫相手を自宅に呼んでしまうことがあるかもしれません。そのときに、パートナーが予定変更し帰宅すると、鉢合わせして不倫がバレてしまいます。また、不倫相手を自宅に呼んだことで、何らかの不倫の証拠を自宅に残してしまう可能性もあります。

携帯電話を見られる

不倫相手との連絡には携帯電話を使うかと思います。そして、電話やメール、チャットアプリなどで連絡を取ると必ず履歴が残ります。そのため、家族に携帯電話を見られると、それまでの不倫相手との秘密のやりとりが発覚する可能性があります。はっきりと不倫関係を示している履歴の場合は、慰謝料請求などに使用できる証拠となってしまいます。

また、家でケータイをいじる時間が増えた、頻繁に履歴を削除している、ことなどから不倫を怪しまれることもあります。

 

ご近所不倫がバレたときのリスク

ご近所不倫がバレたときのリスク

夫婦には貞操権があるので、不倫は夫婦の権利を侵害する違法行為となります。したがって、ご近所不倫がバレたときには、被害者から慰謝料請求、離婚請求が行われます。

慰謝料請求

慰謝料請求

夫婦には貞操権があり、不倫により貞操権を侵害された場合は慰謝料を請求することができます。慰謝料を請求できる対象は、配偶者の不倫相手、または配偶者となります。

不倫慰謝料の相場は、結婚期間、不倫期間、不貞行為の回数、収入、資産、などにより決まりますが、50~300万円あたりが相場となるかと思います。

W不倫

ご近所不倫では、不倫の当事者がどちらも既婚者である場合が多いでしょう。このようなケースをW不倫と言います。以下の流れとなり、どちらの夫婦も実質的に慰謝料を獲得できない可能性があります。

①.A妻がB妻に慰謝料を請求する
②.B夫妻に共同の費用負担が生じる
③.B夫がA夫に慰謝料を請求する
④.A夫妻に共同の費用負担が生じる。①で得た慰謝料請求が打ち消される。

 

ただし、不倫による慰謝料請求は支払う必要がないケースがあります。以下に挙げるのは、慰謝料を拒否できる条件です。

相手と肉体関係がない
肉体関係が無い恋愛関係、例えばハグ、キスをするだけの関係である場合、不貞行為にならず慰謝料の支払いを拒否できる可能性が高いです。
ただし、交際が度を過ぎており夫婦の円満な関係を破壊したのであれば、慰謝料を支払う必要がある場合もあります。また、肉体関係があったかどうかは、証言だけではなく、メール内容やホテルに入った写真などで推察が行われます。

既婚者であることを知らなかった
相手が既婚者であることを知らなかった場合は、慰謝料の支払いを拒否できる可能性があります。しかし、近所同士で交際しているため、既婚者であることを知らなかったと主張できるケースはあまりないかと思います。

婚姻関係が破たんしていた
不倫が原因で婚姻生活が破綻したことを理由に慰謝料請求が行われるため、前提として、不倫前は婚姻生活が破綻していなかったことが必要となります。
そのため、不倫する前に既に長期間別居しているなど、婚姻関係が破綻していたと推察される場合には、慰謝料の支払いを拒否できる可能性があります。同様に、別居はしていないが、DVの被害を受けていた場合なども、すでに婚姻生活が破綻していたといえるため、慰謝料の支払いを拒否できる可能性があります。

時効
不倫相手の配偶者、または配偶者が不倫の事実を知ってから3年経過した場合、慰謝料請求は時効となります。また、不倫の事実から20年経過した場合も時効となります。
ただし、不倫が離婚理由となった場合、離婚理由を作ったことに対して慰謝料を支払う義務は別に生じます。

証拠が不十分である
不倫慰謝料の請求は、以下に挙げるような肉体関係を示す証拠を相手が持っていないと成立しません。

  • 不倫相手とラブホテルに出入りしている場面の写真、動画
  • 不倫相手の家に何度も長時間出入りしている場面の写真、動画
  • 性行為の場面の写真、動画
  • 不倫を自白した文書や録音
  • 探偵、興信所による報告書
  • 肉体関係があったことがはっきりと分かるメール、LINE
  • ラブホテルのレシート、カードの利用明細

なお、不倫の証拠は、それ1つでは不十分でも、いくつかを組み合わせることにより、不倫の証拠とできることもあります。

離婚要求

不倫をされた側は離婚をする権利があります。不倫は民法770条1項各号の離婚理由であるため、夫婦の合意がなくても、一方的に離婚をすることができます。

(参考)民法770条1項各号の離婚理由

1.不貞行為
2.悪意の遺棄
3.配偶者の生死が3年以上明らかでない
4.配偶者が強度に精神病にかかり、回復の見込みがない
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由

不倫をした側は離婚したくなくても、パートナーが離婚を望む場合、離婚を受け入れるしかありません。離婚を避けるためには、パートナーの離婚の意志を変える必要があります。不倫相手と二度と連絡しない旨の誓約書を書くなどし、謝って許してもらう必要があります。

なお、離婚する際の以下の条件については、離婚原因が不倫だからといって不利になるわけではありません。

  • 財産分与
  • 親権
  • 養育費
  • 面会交流

ご近所中に知れ渡ってしまう

ご近所同士は知り合いになることが多く、一緒に活動する機会も多くあります。そして、ご近所同士の情報交換は多く行われています。そのため、一度不倫が近所の人に知られると、ご近所中に知れ渡ってしまいます。

そうすると、ご近所中から冷たい目で見られるようになってしまうかもしれません。状況によっては、引越しをせざるを得なくなるかもしれません。

子どもに悪影響がある

不倫で両親の仲が悪くなること、両親が離婚することは、子どもに悪影響を与えるでしょう。また、引越すことになった場合、近所や学校の友達と別れることは、子供にとってつらいことかと思います。 

配偶者から不倫相手への引越し要求は法的に可能か

配偶者から不倫相手への引越し要求は法的に可能か

配偶者の不倫相手に引越しを要求したいという方は少なくないでしょう。不倫相手と居住地が近いことで、再び配偶者と不倫に発展するのではないかという懸念から、そう考える場合もあります。あるいは、生活圏内がかぶるため、街中で不倫相手を見かけて、不倫に関するフラッシュバックなどに苦しめられる可能性を排除したい、と考える場合もあります。

しかし、配偶者の不倫相手に引越しを要求することは、法律で認められた権利ではありません。不倫をされた立場から不倫相手に請求できるのは、不倫という違法行為で受けた精神的苦痛に対する慰謝料、および離婚要求のみです。不倫相手に対しては、慰謝料、離婚以外の要求は法的に定められているわけではありません。つまり、配偶者の不倫相手に引越しを要求したとしても、不倫相手はその要求に従わなければならない法的な根拠はなく、引越しをしないことも可能ということになります。

 

引越し要求の代替案(1)引越しを条件に慰謝料を減額する

引越し要求の代替案(1)引越しを条件に慰謝料を減額する

法的に根拠が認められていないからといって、簡単に気持ちを治めることができない場合、法律以外の当事者同士の約束で折り合いをつけるという方法があります。

例えば、引越しを示談の条件に挙げるということも1つの手段です。不倫に関して話し合う場合は、今後の行動に対する約束などを取り決める示談書を作成します。この示談書の中で、今後不倫相手と接触しないことや、もし再度不倫関係になることがあれば取り決めた違約金を払うことなど、さまざまな条項が盛り込まれます。

その際、引越しを条件に慰謝料を減額するなど、示談のための1つの要件として引越しを扱うことは可能です。引越しを要求する法的権利はありませんが、当事者同士が合意し示談書を作成しているのであれば問題はありません。高額な慰謝料は不倫相手への経済的なダメージにもなりますし、精神的なプレッシャーも大きいでしょう。引越しをすることで少しでも慰謝料が減るならと、了承される可能性はあります。

 

引越し要求の代替案(2)慰謝料増額で解決する

引越し要求の代替案(2)慰謝料増額で解決する

不倫相手がどうしても引越しする気がない場合、自分たちが引越しをして生活環境を変えた方がスムーズに話がまとまることもあります。また、ご近所に不倫のことがバレており、日常生活に支障をきたしているので、自分たちが引越しをしたいと考える場合もあります。

この場合、不倫が原因で、自分たちだけが現在の住居から引越しをするという状況について話し合い、慰謝料に引越し費用を加えて折り合いをつけることも考えられます。法的に権利があるわけではありませんが、当事者同士が合意し示談書を作成しているのであれば問題はありません。

不倫相手としても、交際相手の配偶者とのやり取りが長引くことは避けたいはずです。話がまとまらず長期化するほど、仕事や不倫トラブル外のプライベートに影響が出てくる可能性もあります。不倫相手の状況などから、示談に引越しを盛り込むか慰謝料増額で解決するか、どちらの選択なら落としどころが見つかるのか、よく検討した上で示談を行うことが重要です。

 

不倫解消後に引越しを要求すると新たなトラブルに繋がる可能性も

不倫解消後に引越しを要求すると新たなトラブルに繋がる可能性も

引越しの要求については、注意しておくべき点もあります。それは、示談交渉が済み、配偶者と不倫相手との関係が解消された後に、引越しを要求するのは危険ということです。示談交渉のタイミングでは、不倫相手に引越しを要求することは思い当たらず、交渉後にやはり相手に引越しをして欲しいという感情になる場合もあり得ます。また、不倫解消後、実際に不倫相手と生活圏内で遭遇してしまい、嫌な思いをしたため改めて相手に引越しを要求したいと考える場合もあるでしょう。

しかし、示談交渉で当事者間の和解が成立している場合、その後に示談条件を追加することはできません。もし、「再度不倫関係になった場合、不倫相手は違約金○○円を支払い、かつ現在の住居から引越しする」などという条項があらかじめ取り決められていれば、示談書に則って後から引越しを要求することも可能ですが、そもそも示談書に記載されていなければ不可能です。

なお、不倫の被害者であるからといって、示談成立後も過度な引越し要求を行うと、新たなトラブルに繋がり、反対に不倫相手から訴えられてしまうかもしれません。要求がエスカレートし「引越し要求に応じなければ、職場に不倫の事実を連絡する」などの言動を行えば、不倫相手への脅迫罪に問われる可能性もあります。不倫が与える影響は大きく、示談が成立したからと言って、不倫されたという事実がなくなったり、精神的なダメージがすぐにリセットされたりするわけではありません。だからこそ、将来的なことも見据えながら、しっかりした内容で示談を行うことが大切です。

 

ご近所不倫がバレたときの対応方法

ご近所不倫がバレたときの対応方法

それでは、ご近所不倫がバレてしまった場合にはどうすればいいでしょうか。関係者に迷惑をかけていることは事実であるため、誠心誠意対応することが大切です。以下に対応方法を挙げます。

不倫関係を解消する

家族から不倫関係の解消を迫られる、ご近所中に不倫の事実が広まっていく、などで不倫関係の継続は難しい状況になります。まずは不倫関係を解消することになる可能性が高いかと思います。

穏便に不倫関係が解消できればいいですが、もめてしまうケースもあります。その場合は、弁護士に相談するのも一つの手かと思います。

弁護士に相談する

慰謝料請求、離婚要求、穏便な不倫関係解消、など解決しなければならない問題が山積みとなります。自分で解決できない場合は、弁護士に相談するのが良いかと思います。弁護士費用はかかりますが、あなたに代わり問題を解決してくれます。

 

不倫問題を当事務所に相談

不倫慰謝料の問題でお悩みでしたら、弁護士にご相談ください。

  • 弁護士が依頼者様に代わり交渉
  • 家族や職場に知られるリスクを下げる
  • 24時間受付のスピード対応

法律問題の最適な解決方法は、ケースごとに全く異なります。東京アライズ法律事務所は、依頼者様と弁護士が対話を通じて、『最善の解決イメージ』を共有しながら動くことを心掛けています。

投稿者プロフィール

吉川 樹士
吉川 樹士弁護士
弁護士。東京アライズ法律事務所所属。著作に「3訂 終活にまつわる法律相談 遺言・相続・相続税」、「相続実務が変わる!相続法改正ガイドブック」など。モットーは依頼者様と弁護士が対話を通じて、『最善の解決イメージ』を共有すること。